抹茶を点てようと思い立ったなら、まずはスーパーマーケットの棚を覗くのがよい。老舗の茶舗やデパートの地下にわざわざ足を運ぶ必要なんてない。近所のスーパーマーケットの棚に静かに並んでいる缶が実は正解なのだ。
普段、上林や一保堂、小山園といった名門の銘ばかりを愛飲している人は知らないだろう。あるいはスーパーの抹茶を視界に入れていないのかもしれない。しかし、これらが実は侮れない実力者なのだ。20グラムから40グラム入りで、500円から1000円前後という日常使いに徹した価格帯のなかに、確かな品質が潜んでいる。

今回、手にとったのは播磨園製茶の「有機抹茶」だ。高名な茶銘(ちゃめい)などはついていない。
いざ点ててみると、その味わいは驚くほど実直で、芯が太い。渋みは比較的クリアに立ち上がってくる輪郭のハッキリとしたお茶で、実においしい。この心地よい渋みと力強いお茶の風味は、甘みの強い上生菓子をしっかり受け止めてくれそうだ。
名に惑わされず、身近ないつもの棚のなかから自分の眼で見出すのだ。そんな些細な発見こそ、数寄者の歓びである。

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