香港映画のロケ地を巡って

私は香港映画が好きだった。いつか香港映画のロケ地を見て回りたいと思っていた。ちょうど花様年華の25周年の映画公開のタイミングで、ついに香港に行くことができた。そこで懐かしいロケ地を見つけるたび写真に収めた。下調べをしてから訪ねたものの、当時の建物はすでに姿を消していたということも多かった。ここにその写真を並べ、私自身の備忘録としたい。

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まずは、ウォン・カーウァイの「恋する惑星」に出てきたミッドレベルエスカレーターだ。世界で最も長いというエスカレーターである。20本ほどのエスカレーターと歩く歩道が連結されて、全長800メートルに及ぶ高低差を繋いでいる。この途中の何処かに、トニー・レオンの扮する警官663号の家があるはずだ。フェイ・ウォンがエスカレーターから覗いていたあの部屋は、撮影監督のクリストファー・ドイルが当時住んでいた部屋だったそうだ。エスカレータに乗ってみると、その脇の薄いすりガラスのすぐ先に誰かの生活の存在を感じるほどの距離感だ。

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「恋する惑星」といえば、原題の「重慶森林」にもなっている重慶マンションにも寄った。外見上は何ということはないショッピング街に見えたけれど、奥に少し入ってみれば、想像以上にごちゃごちゃしていることがわかった。

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一歩足を踏み入れると、あの映画のままの独特の混沌とした空気に包まれた。この隙間を縫うように金城武が走って行くシーンは鮮明だ。ブリジット・リンが銃を持って逃げたのもここのはずだ。

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重慶マンションの上層階はゲストハウス(安宿)の集まりになっていた。「天使の涙」で、この何処かに金城武が父子で住んでいる場所があった。金城武が手持ちのビデオカメラで嫌がる父親を撮影しているシーンがふいに思い浮かぶ。

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「恋する惑星」では、トニー・レオンがフェイ・ウォンと話をする軽食スタンド(ミッドナイト・エクスプレス)があった、その場所は、いまはセブンイレブンになっているらしい。写真は別の場所のセブンイレブンだけど、どこからともなくカリフォルニア・ドリーミングが聞こえてきそうだ。

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香港といえば夜景だ。香港島からも、九龍からも、素晴らしい夜景が見られた。しかし、「2046」に出てきたようなネオンサインは最後まで見られなかった。時代の移ろいと共に、あの鮮やかな光景は姿を変えてしまったようだ。

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香港の中環にある旧最高裁判所だ。これもいろんな映画で見かける。「男たちの挽歌」では、タバコを吸うチョウ・ユンファの背景に出てくる。

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香港のいたるところでマクドナルドを見かけた。香港でマクドナルドと言えば、私にとってはピーター・チャンの「ラブソング」だ。レオン・ライがハンバーガーのトレイに敷かれた紙を持ち帰って、それを便箋にして本土の恋人にあてた手紙にするというシーンを思い出してしまう。カウンターでトレイを受け取った相手がアルバイトをしていたマギー・チャンだったというあの瞬間の映像も、不意に脳裏をよぎる。

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写真は未だに現役の香港トラムだ。外見はきれいにペンキが塗られ、広告が貼られているけれど、中はおどろくことに木造なのである。香港トラムといえば、レスリー・チャンとアニタ・ムイの「ルージュ」だろう。歴史の積み重ねを感じさせる木造の骨組みに触れて、そんなことを思った。

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