一本買い足した「ナカタハンガー」が届いた。
その日の昼、たまたま立ち寄った本屋で映画雑誌をめくっていたら、武田鉄矢の『刑事物語』DVD発売の広告が目に飛び込んできた。刑事物語といえば、やはり「ハンガーヌンチャク」である。まさか新しいハンガーが自宅に届いたまさにその日に、この名作の文字に再会するとは思わなかった。今日は一人で「ハンガーの日」だと小躍りしてしまった。
実を言うと、武田鉄矢のことはしばらくの間あまり好きではなかった。彼の代表作である『3年B組金八先生』での姿を、つい思い浮かべてしまうからだ。あの教室のなかでの彼は、演技が少々過剰で、どこか不自然さが目についてしまうように感じていた。
しかし個人的には、彼はそれ以外の作品で、より強く魅力を発揮している役者だと思う。プロの俳優でありながら、どこかちょっとズレた彼の芝居くささや泥臭さが、なぜか絶妙な「おかしみ」となり、こちらの目を釘付けにしてしまう。ほかの映画やドラマでの彼は、そのおかしみが唯一無二の持ち味になっている。
その最たるものといえば、やはり『101回目のプロポーズ』での泥臭さだろう。あれこそまさに、おかしみと情熱が裏表になった彼にしかない名演だった。あるいは大河ドラマ『太平記』で演じた楠木正成も魅力的だった。私にとって「楠木正成」といえば、歴史の教科書ではなく、今でも武田鉄矢の顔が真っ先に浮かんでくるほどだ。
そんな数ある出演作のなかでも、とりわけ印象深いのがやはり『刑事物語』だった。
ハンガーヌンチャクだけではなく、映画として見る者をぐいぐいと引き込む、印象的なシーンの連続なのだ。かつてテレビの画面で一度観たきりであるにもかかわらず、いくつもの場面を今だに鮮明に覚えている。
動画サイトで当時の懐かしい映像を見つけ、あの頃の空気感が一気に甦ってきた。手元に届いたばかりの、ナカタハンガーを眺めながら、今夜は久しぶりに、あの不器用な刑事が織りなす物語を最初からじっくりと見返したくなっている。
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