竹細工部屋のこと

家の中を掃除した。もうしばらく使っていない部屋を覗いてみた。埃まみれで、今は物置としか使われていない。その部屋は私が小学生の頃まで、祖父や曾祖父が竹細工をする作業場として使われていた場所だ。

小学校から帰ると私はいつもそこへ行って一緒にテレビを見たりした。部屋の真中には囲炉裏があって、いつも竹輪を焼いてくれた。囲炉裏と言っても粗末なもので床板を外すと地べたが出てくるというようなものだった。そこで焼いた灰まみれの竹輪のことは今でも良く覚えている。

その竹細工が「大桑竹細工」という名前で岐阜県の郷土工芸品に選ばれていることを最近になって知った。祖父らが作っていたのは、しょうけのようなものが主だったと記憶している。作ったものを買い付けに来る人がいたけれど、出来損ないなどは我が家で使っていた。今は何軒ぐらい竹細工をやっている家があるのかしらない。もうほとんどいないのかもしれない。

その部屋を覗くたび、当時のことを思い出す。懐かしいなあ。

Comments

“竹細工部屋のこと” への2件のフィードバック

  1. 岐阜人のアバター
    岐阜人

    岐阜人です。
    教室以来、久しぶりです。

    竹細工ですか。ノスタルジィーですね。
    過去から現在まで使い続けている物・言動は、今も新鮮ですが、過去においてきた物・言動は過去のままで、いくら良いものでも埃に埋もれてしまうものです。

    たまには過去を振り返ってみるのも良いですね。そして、現在利用している物・言動は、将来、埃の中から掘り起こしたとき、喜びを得られるような、そんなものでありたいものです。

    では、また、そのうち会いましょう。

  2. 玉井 裕也のアバター

    岐阜人さん、ご無沙汰しています。
    野暮用で留守にしていてコメントの管理をサボっていてごめんなさい。

    小学生の頃の私にとっては竹細工の良さは微塵も感じてはいなかったような気がします。
    手を伸ばせばいくらでも手に取れるものだから気にとめていなかったのかもしれません。
    過去や現在に行ったり来たりすることで、チリにうもれて気がつかないでいた喜びを見つけられていいですね。
    振り返ってみて、あれは良かったと感じられるような何かをつくりだしたいです。
    またアクティブGでよろしくお願いします。

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