家の中を掃除した。もうしばらく使っていない部屋を覗いてみた。埃まみれで、今は物置としか使われていない。その部屋は私が小学生の頃まで、祖父や曾祖父が竹細工をする作業場として使われていた場所だ。
小学校から帰ると私はいつもそこへ行って一緒にテレビを見たりした。部屋の真中には囲炉裏があって、いつも竹輪を焼いてくれた。囲炉裏と言っても粗末なもので床板を外すと地べたが出てくるというようなものだった。そこで焼いた灰まみれの竹輪のことは今でも良く覚えている。
その竹細工が「大桑竹細工」という名前で岐阜県の郷土工芸品に選ばれていることを最近になって知った。祖父らが作っていたのは、しょうけのようなものが主だったと記憶している。作ったものを買い付けに来る人がいたけれど、出来損ないなどは我が家で使っていた。今は何軒ぐらい竹細工をやっている家があるのかしらない。もうほとんどいないのかもしれない。
その部屋を覗くたび、当時のことを思い出す。懐かしいなあ。
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