仕事柄、時計が必要だ。これまでずっと腕時計を使ってきたけれど、どうしても手首がかぶれるようになってしまった。しかし、スマホの画面では代用できないときもある。死亡確認の「○時○分、臨終です」という瞬間に、医師がスマホを見ようとしたら、画面がLINEの通知で埋まっていたり、止めていたTikTok動画が突然再生されたりしては格好がつかない。神妙な瞬間にはきちんとした時計が必要なのだ。
そこで私は、写真のようなシチズンの懐中時計を購入した。これを選んだのにはいくつかの理由がある。まず、道具として信頼できることは不可欠だ。アンティークの手巻き時計は魅力的ではあるけれど、肝心な時にゼンマイを巻き忘れていたら困る。その点、クオーツなら正確で安心だ。また、時間は大切だが、時計自体の主張が強いのも好みではない。それから、高校生の時に初めて買ってもらった時計がシチズンだったという思い出も、この選択を後押しした。もともとこの時計には金属のチェーンが付いていたが、それを組紐に付け替えた。工芸ファンである私には、この方が好ましく思える。
今のところ、大変に気に入っている。腕時計と比べれば、さっと時間を確認できない不便さはある。だけど、そのひと手間こそが良いのだと感じている。

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