くど・かまど

竹細工の部屋の囲炉裏のことを書いて「くど」のことを思い出した。「くど」と言うのはたぶんこのあたりの方言で、全国的には「かまど」といわれているものと同じだと思う。

私が高校にあがる時に我が家は改築されて、取り壊してしまって今はないのだけれど、それまでは三基のクドがあった。我が家が建てられたのも割と最近になってからだったらしく、そのクドもタイルが貼られていたりする割とモダンで丈夫ななものだったと思う。私が知っている時代になってからは、そのクドを使うのは1年にせいぜい数回ほどだった。法事などでたくさん人が集まる時と、年末のもちをつく時ぐらいだったような気がする。

年末にもちをつくのは楽しかった。私はクドの火の守りをする役で、たのしくクドに薪などを放り込んでいた。薪と言っても立派な薪はないので、竹細工の余った竹片や、桑畑から拾ってきた枝や切り株を割ったものだった。そして湯を沸かしてもち米を蒸すのがクドに与えられたおそらく唯一の仕事だっただろう。

小学生にとって、火遊びというのは何よりも興奮する遊びなので、クドには片っぱしからいろんなものを放り込んだ。古新聞やゴミ箱のゴミなど、絶対にダメだといわれたものも、親の目を盗んで放り込んだ。煙の色を見ればすぐにばれるのだけど、懲りずにいろんなものを放り込むのが楽しかった。

冬の寒い土間の部屋がクドに火を入れてから暖まっていくのが楽しかった。それになにか仕事を任されるというのも楽しい理由だったかもしれない。もしも今でもクドがあったとして、年に数回程度なら、またクドで料理をするのもいいかもしれないなと思う。

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